おまとめローンの前に過払い金を確認しよう!
自転車操業で毎日の生活がいっぱいいっぱい!そんな方には、借金を一本化して毎月の返済額を少なくできる「おまとめローン」は魅力的でしょう。
おまとめローンは総量規制対象外の商品ですので、申し込み審査の際に利用限度額を気にせず申込めます。
ただし、おまとめローンをすることで、かえって完済が先送りになってしまう人もいます。
「借金地獄が抜け出すために、最適な選択肢は何か?」その答えを知るために、いくつかのポイントをチェックしてみましょう。
過払い金をチェックしよう
2010年6月に改正貸金業法が完全施行されたことで、出資法の金利が年29.2%から20%に引き下げられました。
もともと、利息制限法によって貸金業者の上限金利は、年15~20%に抑えるよう定められていましたが、「みなし弁済」という規定により、出資法の金利まで合法的に貸付できる状態でした。
しかし、貸金業法の改正とともにみなし弁済も撤廃され、出資法の金利も引き下げられたことで、利息制限法を越えた利息(過払い金)については、返還請求できるようになりました。
たとえば、100万円を年29%で借りた場合、1年間の利息は29万円ですが、利息制限法では100万円の上限金利は年15%ですので、1年間の利息は最高でも15万円になります。
もしも29万円を支払っていた場合、差額の14万円を返還請求することができます。
貸金業が改正される前に結んだ契約については、契約上は有効ですので、完済まで返還請求することはできませんが、債務整理を行う場合、利息制限法に基づく利息の引き直し計算が行われるので、残りの借金から過払い金が差し引かれることとなります。
残債よりも過払い金の方が多い場合は、その差額を返してもらえます。
なぜおまとめローンで過払い金の話をするのかというと、過払い金がある場合、すでに借金が0になっている可能性があるからです。
たとえば、200万円の債務があり、利息の引き直し計算を行うことで債務が0になる場合、その時点で借金は完済できたも同然です。
しかし、それに気付かずおまとめローンをしてしまうと、200万円の正当な債務ができてしまいます。
もちろん、元に業者に対して過払い金の返還請求を行うことができるので、200万円返してもらった後で、おまとめ先にも200万円返すという方法もあるでしょう。
おまとめ前に清算した方がよい場合も
ただし、完済後の過払い金返還請求では、200万円が全額返ってくるとは限りません。これは通常の過払い金でもそうですが、業者は交渉によって過払い金を低くしようとしてきます。
たとえば、利用者はまず、過払い金の金額を調べるために、業者に対して取引履歴の開示請求を行います。
業者は取引履歴の開示請求を拒むことはできませんので、快く応じてくれますが、この時点で過払い金を要求されるのは分かっているので、先手を打ってきます。
業者は少し調べた後、「どうやら過払い金が発生しているようでございます。
100万円であればすぐに返還できますが、いかがでしょうか」と、いきなり交渉を切り出してきます。
利用者はまだ取引履歴を見ていないので、いくら過払い金があるか分かりませんが、すぐに100万円が戻ってくると言われると、うっかり「分かりました」と言ってしまいそうになります。
業者の提示額が、満額であると勘違いしてしまう方もいるでしょう。
しかし、業者の提示額は大体満額の5~7割(酷いところは3割)程度であり、決して満額ではありません。
ですので、まずは判断を保留して取引履歴を送ってもらいますが、その内容に間違いがある場合もあります。
10年間取引しているはずなのに、7年間の取引履歴しか送られてこず、それに気付かずに7年分の過払い金だけを要求した場合、当然7年分しか返ってきません。
一度合意してしまうと、再度請求することはできませんから、後日間違いに気付いても後の祭りです。
小規模の貸金業者の場合、そもそも業者自体が倒産してしまって、返還する相手がいなくなってしまう場合もあります。
返済中に任意整理をした場合、少なくとも残債と過払い金を相殺することはできます。
信用情報には、処理が終わるまで一時的に債務整理中と記載されますが、残債が0になれば「完済」扱いとなり、債務整理という情報は消されます。
債務が減少したけど0にならなかったという場合は、信用情報にそのまま債務整理という記録が残りますが、借金が減った分、おまとめローンを組まなくても十分返済できる可能性があります。
弁護士や司法書士に依頼すれば、将来の利息カットも当然要求の中に盛り込まれていますから、今後は利息を一切払わず、元金だけ確実に減らしていくことが可能です。
おまとめローンの複利とは?
もう1つおまとめローンで注意したいのは、おまとめする際に「複利」になることです。
たとえば、A社の借金が元金50万円+利息50万円=100万円、B社の借金が元金80万円+利息20万円=100万円、合計200万円の借金があるという場合、A社では50万円、B社では80万円に対して利息が発生しているのに対し、おまとめ先のC社では、元金200万円に対して利息が発生することになります。
本来利息であった部分(50万円・20万円)にも利息が付くという「複利」状態になりますので、一見すると金利が下がってお得なように見えますが、実は利息自体は増えており、あまり負担が減らないという場合もあります。
いくらC社の金利が低くても、元金が大きいので利息の増えるスピードが速くなります。
もしもC社におまとめした後、A社・B社に対して過払い金の返還請求を行う場合、A社・B社と交渉している間にも、C社から借り入れした200万円については、1日ごとに利息が発生しています。
過払い金の交渉がスムーズにまとまっても、銀行口座にお金が振り込まれるのは早くて2ヵ月後、遅いと6ヶ月以上かかることもあります。
業者によっては満額請求を徹底的に拒み、訴訟に発展するケースもあります。
そうすると、ますます返還までに時間がかかってしまいます。
もしもC社に対する返済も厳しくなり、新たにD社からお金を借りて返済するという事態になれば、ますます債務が膨らんでしまいます。
これは借り換えローンでも同じことが言えます。
利息の引き直し計算で借金が大幅に減りそう、完済が見込めそうという場合には、おまとめローンをせずに、債務整理を検討した方がよいでしょう。もちろんもうすぐ完済という場合には、無理に債務整理をする必要はありません。
多重債務で苦しくても、なんとか1社ずつ完済していけるという場合には、そのまま返済を続けてしまい、完済後に過払い請求していくというのもありでしょう。
過払い請求は、完済後10年以内であれば、いつでも行えます。
先述したように、相手業者の倒産、連絡不能などが考えられる場合には、返済中に借金を相殺する方が確実ですが、銀行と提携している大手消費者金融であれば、その可能性は低いです。
おまとめローン後に借金を増やしてしまう人もいる
せっかくおまとめローンに申込んでも、再び借金を繰り返してしまうようでは意味がありません。
契約の際に完済証明書を求める金融機関もありますが、完済証明書を提出しても、その後に再び借入することはできるので、本人の意思が弱いとまたズブズブと借金を積み重ねてしまいます。
もちろん、そうなると債務整理のリスクが高まりますから、おまとめローンをした業者も、利用者のことを警戒するようになります。
他社の借入状況は、信用情報機関を通じてほぼリアルタイムに把握することができるので、返済能力が低いと判断されると、限度額を減少されたり、カードを返済専用にされてしまったりする可能性があります。
総量規制の対象外といっても、金融会社ごとに借入のデッドラインを定めています。
他社借入も合わせてそのデットラインを超えてしまった場合は、今まで融通を利かしてくれた業者が、一転して厳しい態度に変わることもあります。
おまとめローンを利用するということは、もう借入しないで完済を目指すということですから、お金を借りたい誘惑に駆られても我慢しましょう。
おまとめローンをしても生活に行き詰る場合は、今まで避けてきた債務整理を検討する必要性も出てきます。
リストラされて突然収入源がなくなってしまった場合など、予測できない事態が生じた場合は仕方ない部分がありますが、おまとめローンを組む時点で、無理な返済計画を立てている方も少なくありません。
「自分ならこのくらい返済できる!」と楽天的に考えてしまう方も多いですが、現在の収入から毎月いくら返済に充てられるのか、生活状況を考慮した上で、なるべく現実的で具体的な返済計画を立てましょう。
返済シミュレーションを行えば、毎月の返済額だけじゃなく、返済回数、返済総額も一目で分かります。
あるいは、返済回数から毎月の最小返済額を計算できます。
もしも返済シミュレーションを行って、完済まで3~5年以上かかる場合は、債務整理も合わせて検討した方がよいでしょう。
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