低金利の教育ローンと奨学金の賢い利用方法
子供の学費を借りて支払う場合、主な選択肢として「奨学金」と「教育ローン」があります。
奨学金とは、国(日本学生支援機構)や都道府県、民間育英団体などが実施している学生向けの支援制度であり、教育ローンとは、国(日本政策金融公庫)や銀行、信用金庫などが行っている教育費を対象としたローンです。
奨学金と教育ローンは何が違い、どう使い分ければよいのでしょうか?
国の奨学金とは?
実施する組織によって具体的な内容が異なります。奨学金の場合、お金を返さなくてよいタイプ(給付型)と卒業後お金を返すタイプ(貸与型)があります。
日本学生支援機構の奨学金は貸与型であり、利子なしの「第一種奨学金」と利子ありの「第二種奨学金」があります(第一種と第二種を併用することも可能です)。
第一種は、高等学校の成績評価の平均が「3.5以上」、第二種は「平均水準以上」という条件があります。
第二種奨学金は、利息がかかるので教育ローンに近いです。ただし、金利は年3%を超えることはなく、在学中は利息が発生しないという特徴があります。
貸与額は、月3万・5万・8万・10万・12万のいずれかを選択し、毎月指定口座に入金されることとなります。
契約者は学生本人であり、高校在学中に高校を通じて申し込むか、大学入学後に大学を通じて申し込みを行います。
原則的に毎年春に申し込みを受け付けておりますが、実際に入金される時期にバラつきがあり、高校在学中に申請しても4月21日~6月11日、大学に入学後は6月11日~7月11日に入金さる場合が多いです。
保証人は原則必要ですが、保証料を払えば不要となります。
奨学金は誰でも利用できるわけじゃなく、世帯人数に対する所得が一定以下であること、学業成績が平均水準以上であること、という条件があります。
毎年「奨学金継続願」を提出し、審査を受ける必要があります。
そのため、1年目は奨学金を受けられたのに2年目は受けられないということもあります。
前提として「学習意欲が高い」という条件がありますので、成績が一定基準に達していないと、学ぶ姿勢に問題があると見なされて貸与打ち切りになる可能性があります。
返済期間は決まっていますが、手続きによって期間を延ばしてもらうことも可能です。
国の教育ローンとは?
一方、国の教育ローンである日本政策金融公庫(教育一般貸付)は、年2.05%の固定金利であり、350万円を上限に1年間に必要な金額を申請します。
たとえば、4年制大学で毎年100万円必要な場合は、年に1回100万円を申請し、4年目だけ50万円を申請して、合計350万円まで借りることができます。
ただし、返済分は再び借入できるようになりますので、3年間で300万円借りて50万円返済すれば、4年目も100万円借入できるようになります。
奨学金の利用者が学生本人であるのに対し、日本政策金融公庫の利用者は保護者になります。
こちらも保証料を支払えば保証人は不要です。
奨学金と同様に世帯年収が一定以下の方じゃないと利用できませんが、成績の条件などは特にありません。
融資時期は、申し込みから20日程度であり、在学中は元金の返済を据え置くことができます。ただし、利息だけは支払います。
奨学金と教育ローンを比較
奨学金は融資額の上限がありません。そのため、大学だけじゃなく大学院に進学する際も継続して融資を受けることが可能であり、思う存分勉学に勤しめるというメリットがあります。
卒業するまで利息が発生せず、返済も後回しにできます。
一方、教育ローンは融資額の上限があり、その範囲内でしか融資できないというデメリットはありますが、奨学金よりも短期間に入金されるので、入学金の支払いなどにも対応できます。
保護者が契約するため、学生本人に返済の負担がありません。
どちらも融資元が国の機関であり、経済的に余裕がない学生・保護者に対して教育資金を支援するという目的がありますので、低金利で融資を受けることができます(両方を併用することも可能です)。
ただし、毎年審査があって必ず通過するとは限らないこと、融資までに時間がかかるため間に合わない可能性もあること、使用用途が子供(学生本人)の学費に限られることなど、いくつか制約があります。
より早く、より柔軟に教育ローンを利用したいという場合には、銀行など民間の教育ローンを利用するという方法もあります。
銀行の教育ローンは?
銀行の教育ローンの金利はやや高めであり、変動金利を選んだ場合は3%以上、固定金利なら4~5%前後になります。
借入金額が大きくなると、金利が数%違うだけで利息にも差が出てきますので、返済の負担を減らしたいのであれは、国の奨学金や教育ローンを利用するべきでしょう。
また、民間の教育ローンの多くは300万円を上限としており、4年間の学費をすべて教育ローンで補うのは難しいです。
返済も毎月一定額ずつ返さなくてはならず、返済計画を立ててから利用しないと返済が滞ってしまう可能性もあります。
しかし、銀行の教育ローンにもいくつかメリットがあります。まず、契約者は「20歳以で安定した収入がある方」ですので、基本的に学生の保護者が契約することとなります。
学生本人は学業に専念できますし、卒業後も借金の返済に縛られません。もちろん保護者の負担は大変ですので、アルバイトをしながら保護者にお金を入れるという方法を取ってもよいでしょう。
また、国の奨学金、教育ローンでは、進学する学生、在学中の学生への支援を目的としています。
そのため、社会人が自身の学習のためにお金を借りたいという場合、あるいは留年などで学生の年齢が上がってしまった場合は、利用条件から外れてしまう場合もあります。
一方、銀行の教育ローンは、教育資金の対象が幅広いです。
会社に行きながら夜間大学に通いたい、自己啓発や資格取得のための資金を借りたいという方も利用できる場合があります。
大学の入学金など大々的なものじゃなく、教材や修学旅行の費用などにも使用できます。
また、銀行の教育ローンは審査スピードが早く、審査直後~数日後に入金されます。
私立の場合、入学金や前期授業料などで100万円程度お金がかかりますが、このお金が用意できず、銀行の教育ローンを利用するという方は多いです。
奨学金に前持って申し込んでいても6月や7月に入金されるのでは間に合いませんし、教育一般貸付も審査回答まで10日、入金まで20日程度かかってしまいますので、申し込みが遅れてしまうと、間に合わない可能性があります(お急ぎの場合は、店舗で相談すると早く融資される可能性があります)。
余裕を持って申し込んでも審査に落ちてしまい、代わりの教育ローンを探さなくてはならない場合もあるでしょう。そんな時に、銀行などの民間教育ローンは役立ちます。
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