過払い請求をすると審査に通りにくくなるの?
金融業者に対して債務者が必要以上に支払った利息(過払い金)の返還請求をすることを「過払い請求」と言います。
今日は、この過払い状態が発生する仕組みと過払い請求をしたことによる審査への影響について解説したいと思います。
まず、結論から申し上げますと過払い金請求をしたからといって今後の審査に影響が出ることはありません。そもそも過払い請求は、債務整理などと違って異動情報ではないのです。
過去には、過払い請求歴が「契約見直し」というコードで個人信用情報に登録されることもありましたが、平成22年4月19日にこのコード自体が削除されたため、ブラックリスト入りすることはありません。
元々、貸金業によって発生する利息は利息制限法によって以下の数値までに制限されていました。
- 年率20% (元本が10万円未満の場合)
- 年率18% (元本が10万円以上100万円未満の場合)
- 年率15% (元本が100万円以上の場合)
ところが、実際には出資法が定める年率29.2%を超えない限りは刑事罰に問われることはなかったので、大手を始めほとんどの貸金業者が制限利率を超える金利(グレーゾーン金利)で貸付けを行っていたのです。
しかし、平成18年に出資法が改正されると上限金利は20%となり、グレーゾーン金利は廃止。この頃から、金融業者に対する過払い請求が活発に行われるようになりました。
元々違法な利息をとっていたのは金融業者ですので、債務者に非はありません。
よく信用情報に傷がつかなくても社内ブラックになるという記述をネット上で見かけることがありますが、必ずしもそうとは限りません。
過払い請求をされると確かに会社にとっては大きなダメージになります。しかし、現に私が勤めていた大手消費者金融会社では、その後もお客様とお付き合いを続けたいという思いの下、過払い請求されたお客さんを再度囲い込むように努めてまいりました。
ですから、過去の過払い金請求が原因で審査に落ちることはまずないと考えてもらってよいと思います。
債務が残る場合の過払い請求は異動になります
ただし、過払い請求をした時にブラックになってしまうパターンが2通りあります。
① 過払い請求後に債務が残った場合
借金完済後の過払い請求は、絶対に異動情報にはなりません。しかし、債務残高がまだある状態で過払い請求を行ったときに、思ったよりも過払い金が少なく債務が残ってしまうことがあります。
このように、債務が減少しても債務残高が残った場合、「債務整理」として異動情報が5年間登録されてしまいます。
この間ローンを組んだり、新たに借入を行うことができなくなってしまうので過払い利息の計算は確実にしておきましょう。(過払い請求に関して無料相談を受け付けている法律家もいます。)
② 債務残高があるときに司法書士や弁護士を通じて過払い請求した場合
過払い請求は自分ですることもできますが、時間や手間もかかり、貸金業者によっては低額の和解金額を提示してくる可能性があります。
実際のところ、私も債務残高が100万円で過払い金が300~400万円発生しているお客さんに対しては、債務をチャラにするといういわゆる0円和解に持ち込んでいました。
一方、司法書士や弁護士に依頼すれば、手数料はかかるものの確実に過払い金の返還請求をすることができます。
ただし、債務残高があるときに司法書士や弁護士を介して過払い請求をした場合、一時的にブラック登録されることがあるので注意が必要です。
司法書士や弁護士は過払い請求の依頼があった場合、金融業者に対して受任通知をします。金融業者によってはこの段階で信用情報機関に「任意整理」と登録することがあるのです。
この後、債務残高を上回る過払い金があることが確定すれば最終的に任意整理の異動情報は削除されますが、それまでの間ブラックになってしまうことがあるということです。
この一時ブラックの期間と、クレジットカードの更新のタイミングが被ると更新不可になってしまう可能性があります。
ヤミ金への過払い請求は難しい
グレーゾーン金利が廃止になった後も、29.2%までの金利で貸付けを行う金融業者も存在します。
もちろん、これは違法行為であり契約そのものが無効なので元金を返す必要すらありません。既に払ってしまった分の利息についても、もちろん過払い請求をする権利があります。
しかし、現在高金利の貸付けを行っているのはほとんどがヤミ金であり、ヤミ金から過払い金を取り返すことは実質困難です。
元々、違法であることを承知で貸付けを行っているので一人で戦いを挑むことも難しいですし、弁護士に相談しても逃げられてしまう可能性があります。
ヤミ金は090金融といって、固定電話を使わずに携帯電話を窓口に営業しているため簡単に姿をくらますことができるのです。
請求先が見つからなければ、当然過払い金が帰ってくることもないでしょう。
最近では、優しくて温情のある対応を謳っているソフトヤミ金と呼ばれる業者も横行しておりますが、違法金利であることに変わりはありません。
くれぐれもヤミ金には手を出さないようにしましょう。
[af_txt001]