総量規制対象外のカードローンは審査が甘い?
カードローンは消費者金融会社だけ?
わが国では、治安の悪化も、カードを持つ方が増えています。しかし、やはり多額の現金を持ち歩くと言うことにはやはり不安があり、財布にはカードが欠かせません。
でも、急な出費はいつ起こるかわかりません。
叔母さんが亡くなって今夜香典が必要だ、久しぶりに友達と会って急に飲みに行くことになったが財布にお金が入っていないなどという急な出費はよくあることです
そのような際には、やはりカードローンが必要です。
でも、カードローンを発行しているのは消費者金融会社だけでなく、銀行やクレジットカード会社なども発行しています。
さらに、個人への融資という点では、さまざまな会社が行っています。
消費者金融会社のカードローンは貸金業法の総量規制を受けている
しかし、この個人に対するカードローンを中心とした融資には、基本的には貸金業法の規制が行われています。
特に、貸金業法には、総量規制という融資可能額の規制があり、消費者金融会社やクレジットカード会社などは、融資限度額においてその規制を受けているのです。
昔は、融資限度額については、個人融資を行う消費者金融会社などの企業に任せられていましたが、現在では年収の1/3を越えて融資はできないことになっています。
貸金業法には、その他にも融資対象者を制限する規定や、返済遅れに対する督促行為の制限についても規定されています。
貸金業法の総量規制を受けないカードローンはあるの?
しかし、この貸金業法の総量規制などの規制を受けないカードローンや個人融資もあるのです。
主に貸金業法の総量規制対象になっているのは、消費者金融会社やクレジットカード会社、信販、ノンバンクといわれる貸金を行う業者です。
しかし、この貸金業法は、銀行業は対象に入っておらず、さらに生命保険会社などの個人融資も規制対象には入っていません。
銀行のカードローンは貸金業法の総量規制を受けないの?
銀行業については、銀行法という別の法律がありますが、貸金業法の総量規制のように個々の融資に対する規制は設けられていません。
また、生命保険会社などもその業界専門の法律があり、貸金業法の規制を受けないのです。
本来、クレジットカード会社や信販は、割賦販売法という法律が経済産業省管轄としてあり、そちらで規制は受けています。
しかし、クレジットカードの場合には、キャッシング枠というものが付いており、その部分は貸金業法の規制を受けるのです。
貸金業法の規制は総量規制だけ?
貸金業法は、施行令、施行規則などを通して、総量規制だけでなく、貸付行為や取り立て行為に対してもさまざまな規定が設けられています。
取り立て行為については、消費者金融業界で自主的な自己規制も行われています。
また、融資に関する規制としては、融資できる方の年齢制限や、収入のない方に対する融資も禁じられているのです。
保証人付き融資や担保付き融資についても、個別規定があり、ノンバンクなどの企業融資を行う企業も規制対象として入っています。
貸金業法の規制を受けない総量規制対象外の融資
従って、貸金業法の規制を受けない融資は、銀行や生命保険会社以外においてはほぼないという状況にあります。
但し、貸金業法の規制でも、総量規制の規制範囲には限界もあります。
総量規制対象外の融資が存在しているのです。
貸金業法の規制を受けないその他の融資とは?
貸金業法の総量規制では、事業者融資や担保付き融資は総量規制対象外になっており、ノンバンクなどはそれによって無担保無保証の事業者融資を行っています。
個人事業主でも、事業資金であれば、総量規制を受けずに融資が受けられるのです。
また、消費者金融会社の中には不動産担保融資の形で総量規制の制限を受けずに融資しているところもあります。
生命保険会社は、積立式の保険の場合には、その保険の払い込みの範囲内において個人融資をしています。
このように、貸金業法の対象業者でも、その対象外の業者でも総量規制対象外の個人融資が行われているのです。特に、銀行などは、消費者金融会社と同様のカードローンを総量規制対象外として行っています。
貸金業法の総量規制とは
貸金業法の総量規制は、融資は年収の1/3を越えて行ってはいけないという規定であり、この場合の融資は基本的にはすべての借入を含んでいます。
すなわち、他社で借入があれば、その借入も含めて年収の1/3以下に抑えないといけないのです。逆に言えば、他社ですでに年収の1/3の借入があれば、融資はできません。
年収の1/3に融資を抑えないといけない根拠としては、通常の生活をしていて返済のできる限度として金融庁が試算した結果です。
ただ、年収の確認の規定は、借入希望枠が50万円を越えるか、他社と含めて100万円を越える場合であり、それ以下の借入希望の場合は、収入証明書の確認の必要がありません。
本人の借入申込書による申告を認める規定になっています。
これには矛盾もあり、本来、年収150万円以下の収入ですと、実質手取りは120万円程度になり、10万円の月収で1.5万円の返済が可能か疑問です。
消費者金融会社は、150万円の年収の場合、50万円の利用限度枠のカードローンを発行する会社はないという判断です。
ただ、貸金業法の改正までは、150万円の年収でもいろいろな業者から総額100万円の借入をできていた多重債務者はたくさんいました。
現在の貸金業法は何故生まれたか
現在の貸金業法は、2006年に新たに抜本改正されています。
その2006年1月に最高裁判所が、利息制限法の上限金利(18%)を超えたグレーゾーンと呼ばれる金利(貸金業法では許容されていた)を否定し、多重債務に陥る弱者救済の判決があったからです。
その当時、消費者金融業界では多重債務者問題が社会問題となっており、そのため自己破産をされる方も25万人を越えていました。
そのため、自分たちの政策が否定された金融庁は、旧貸金業法の上限金利とともに、多重債務者問題を解決すべく、総量規制を入れた新たな貸金業法をまとめたのです。
それまでは、貸金業法の改正があったとしても、上限金利は25%程度と言われており、多重債務問題も借入件数を中心とした議論になっていたのですが、それよりもかなり厳しい法律となって改正されました。
多重債務と貸金業法の総量規制
2005年(平成17年)以前の消費者金融業界では、貸金業法の上限金利は29.2%で、借入件数が5件以上の方も多く、それ故に自己破産件数は急増していました。
当時の破産件数の推移は次のようになっています。
年度 | 破産件数 |
平成6年 | 43,161 |
平成8年 | 60,291 |
平成10年 | 111,067 |
平成11年 | 128,488 |
平成12年 | 145,858 |
平成13年 | 168,811 |
平成14年 | 224,467 |
平成15年 | 251,800 |
すなわち、平成6年(1994年)の破産件数4万3千件は平成15年の25万1千件へと、10年で6倍に膨れ上がっていたのです。平成28年には貸金業法改正の効果もあり、71 838件と平成8年当時の数字近くまで低下しています。
明らかに貸金業法の総量規制により、自己破産になる方は少なくなっており、最近の自己破産の原因としては、総量規制対象外になっている銀行からの高額カードローンが原因となっているケースが多くなっています。
破産件数は平成26年に7万件になって以降、ほとんど低下していないのです。その原因は、銀行が総量規制対象外となっている点にあります。
多重債務とは
多重債務は、多くの借入先からカードローンなどで借入をして、返済不能になることです。
すなわち、多くの消費者金融会社では、規定の元本を返済しなくても利息さえ払っていれば、遅れにはなりません。
そのため、生活を切り詰めず、一つの借入先が融資可能枠いっぱいになりますと、新たな借入先からカードローンを発行してもらい、それによって返済するという自転車操業になる方が多かったのです。
しかも、金利も高いため、金利支払いだけでも返済が苦しくなる状況でした。当時の消費者金融業界では借入先が10件を越える方もかなりいたのです。
そして、最終的にどこも貸してくれない状況になり、自己破産になっていたのです。
貸金業法は消費者金融業界のターニングポイント
貸金業法は、最初1983年に成立していますが、その当時も消費者金融業界では多くの多重債務者が自己破産をして多重債務問題が生じていました。
しかも、当時は消費者金融会社(当時はサラ金と言われた) は、100%近い金利をとるところもたくさんあり、大手の残高成長率は年率300%ということもありました。
そのため、貸金業法では上限金利を54.75%とし、そこからさらに引き下げていく形をとり、多重債務問題を解決するために信用情報機関を設置することを命じたのです。
この時も多くの中堅、準大手の消費者金融会社が破綻して、業界は一時的に大混乱しました。
大きな業界としてのターニングポイントとなったのです。
しかし、1990年代になりますと、自動契約機ができ、金利も下がったことから、大手消費者金融会社は大々的に宣伝を開始して再び拡大路線を走り出し、それにつれて多重債務者も増加し、自己破産は再び拡大したのです。
2006年のターニングポイント
そして、2006年に再び、貸金業法は抜本的改正が行われ、上限金利は18%に引き下げられ、総量規制が導入されました。
そのため、消費者金融会社は大混乱に陥り、再び、大きなターニングポイントに差し掛かったのです。しかし、それは業界が正常化するためには、避けられないことでした。
それによって、結果的には多くあった消費者金融業者は大幅に減少し、貸金業法成立当時の登録業者が3万社を超えていたのに対して、現在では1千社程度まで減少しています。
それによって、多重債務者は減少し、自己破産される方も大きく減少したのです。
総量規制の効果:グレーゾーン金利撤廃と過払い金返還
2006年の貸金業法の改正により総量規制とともに改正されたのが、上限金利規制を利息制限法や出資法の18%に合わせることでした。
しかも、最高裁判所の判決により、過去の18%を越える金利部分の利息については元本に充当して計算をやり直して請求できることになったのです。
これによって、多くの方が過払い金返還請求を行い、消費者金融会社はその対応のために、貸付を制限せざるを得なくなり、最大手の武富士は破綻し、多くの中小消費者金融会社は廃業に追い込まれたのです。
しかし、業法の改正から10年以上を経過して、過払い金返還請求件数は大幅に減少し、大手消費者金融会社なども正常な姿を取り戻しつつあります。
総量規制の効果:信用情報機関の融合
それまでは、消費者金融業界では、借入件数主体で見ていたものが借入額を中心に見る方式に代わり、そのために業界ごとに設けられていた信用情報機関の統合が課題になったのです。
信用情報機関は、消費者金融業界のレンダース、クレジットカード会社・信販のCIC、銀行のKSCがありましたが、総量規制対象外のKSC以外は統合の必要が出たのです。
しかし、信用情報機関の持つ情報量には大きな差があり、同じような情報量にするには無理がありました。
そのため、一番情報量の多い消費者金融業界のレンダースは統合されて、JICC(日本信用情報機構)となり、消費者金融業者だけでなく、銀行やクレジットカード会社の加盟も認めたのです。
さらに、JICCとCICは共通の情報については互いに情報交換ができるようになり、利用者の借入残高はすべて見れるようになったことから、総量規制は実施されたのです。
総量規制は消費者金融業界を正常化
貸金業法の改正による総量規制導入の効果は、多重債務者の減少、自己破産件数の減少として数字で見られるようになっており、消費者金融業界が正常化したことを示しています。
ただ、過払い金返還請求が減少したことで、大手消費者金融会社が融資姿勢を積極化させ、融資審査を甘くする可能性はあります。
しかし、総量規制がある限りにおいては、返済限度を越えての融資は難しくなっていますので、これまでのような多重債務は生じてこないでしょう。
ただ、ミニバブルは生じる可能性があるのです。
保証人付き融資は難しくなった
保証人付きの融資は、2006年より以前に商工ローン問題で大きな課題となり、既に貸金業法でも保証人に対する事前の詳しい融資の説明やリスクの説明が必要となり、実質的に実施は親族を除いては難しくなっています。
そのため、現在の事業者貸付においても、無担保無保証人での融資ウエートがかなりの部分を占めるようになっています。
従って、個人融資においては難しいと言えるのです。但し、中小企業融資においては、社長を保証人としているケースはまだまだ多いです。
総量規制の抜け穴
このように、貸金業法で総量規制が導入されたことにより、大きな成果が得られており、消費者金融業界の正常化につながっていると言えます。
しかし、それでも、総量規制にはまだまだ抜け穴がいくつか残っています。少額融資における収入証明書がいらない点もその一つですが、それ以外にも次のようなものがあります。
- 不動産担保融資や事業融資が総量規制の対象になっておらず、企業規模と不釣り合いな融資も可能であること
- 銀行が規制対象外のため、高額なカードローンが横行していること
- 主婦の貸付においては配偶者貸付制度があること
- 貸金業法の総量規制対象外の銀行などでは、貸金業法で規制されている融資対象者も融資できること
などの抜け穴も存在しているのも事実です。
総量規制の規制を受けない融資やカードローンとは
これまで見てきましたように、総量規制対象外になっている融資やカードローンは存在しています。
その内容について見てみることにします。
不動産担保ローン
不動産担保ローンは、担保があることにより、総量規制対象外となっています。株式などの証券担保の場合も同様です。
バブル以前は、不動産は永遠に上がり続けるものという右肩上がり神話がありましたが、現在では、不動産価格は上がり下がりがあることが常識化しています。
そのため、かなり不動産評価額を低く、半分程度にして担保融資は行われており、総量規制対象外となっても大きな、問題は生じていません。
大手消費者金融会社でこの不動産担保ローンを本格的に扱っているのは、アイフルだけです。
事業融資
事業融資も総量規制対象外となっています。主には、消費者金融会社ではなく、事業融資専門のノンバングが事業融資を行っています。
ただ、事業融資の場合は、法人組織になっている会社だけでなく、個人事業主も対象となるのです。
その場合、どこまでが事業資金で、どこからが個人としての使用目的なのかが明確にならない場合もあります。
そのため、個人事業主として融資された資金の大半が個人として使われ、その結果、融資が焦げ付くという事態も生じています。
また、個人事業主が、事業融資以外に消費者金融会社から個人としてカードローンを受けているケースもあります。
そのため、総量規制の抜け穴として利用されている場合があるのです。そのため、大手消費者金融会社ではアイフル以外は個人事業主への融資は行っていません。
アイフルはカードローンを個人事業主に発行しているのです。
また、中小消費者金融会社ではかなりのところが扱っています。
貸金業法でも、この部分については明確な線引きが行われておらず、グレーな部分として残っています。
まとめ融資のカードローン
大手消費者金融会社ではおまとめローンとして、中小消費者金融会社の少額の融資をまとめられるカードローンを発行しています。
これは、中小消費者金融会社などの融資を全額返済し、その完済証明などを提示することによって実施しています。
ただ、そのために他社完済以前にその資金を融資するため、一時的に総量規制を越えた融資になっている場合があるのです。
完済を前提としたおまとめ融資は金融庁も認めており、表面的には問題は生じていません。
しかし、完済証明は提示しても、カードそのものを契約解除していなければ、再び、他社で借りてしまう可能性があります。
短期間で他社のカードで借入をした場合、3か月程度たちませんと情報としてはつかめませんので、融資をストップするのが遅れる可能性があるのです。
その結果、多重債務化して破綻につながる可能性があります。
貸金業法の規制を受けない銀行カードローンと生保貸付
銀行のカードローンは、基本的に貸金業法そのものの対象外であり、総量規制の年収の1/3を越えて融資枠を設定している例がたくさんあります。
特に、大きな不動産資産がある場合には、ほとんど審査もしない、甘い審査結果で高額のカードローンを発行してしまうケースが多いのです。
現在の自己破産の主要な原因となっています。
生命保険会社の個人融資は、基本的には積立式の保険の場合に、積み立てた金額の一定部分までは、保険を担保として低利融資を行っています。
基本的には担保融資であり、破綻につながることはありませんので、総量規制対象外とはなっていますが、大きな問題は生じていません。
総量規制の抜け穴としての配偶者貸付のカードローン
貸金業法では、パートなどをしている主婦への貸付の際には、配偶者の収入を合算して融資限度枠を作ることを配偶者貸付として許しています。
但し、専業主婦は対象には含まれていません。
そのため、パートなどで収入が少なくても、融資可能枠の大きなカードローンが可能になっているのです。
ただ、基本的には大手消費者金融会社では行っておらず、中小消費者金融会社で行われています。
大手消費者金融会社では、専業主婦は過去においてはかなりの融資ウエートを占めていましたが、破綻される主婦も多く、多重債務とともに大きな社会批判を浴びました。
そのために、配偶者貸付が可能でも手を出していないのです。
しかし、今後、過払い金返還請求が急減してきますと、貸付を積極化させる可能性があり、今後、総量規制の抜け穴として実施に向けて動く可能性はあると思われます。
貸金業法の融資対象者の規制
貸金業法では総量規制以外に融資対象者の規制があります。
基本的には、20歳以上69歳未満の方が対象となり、一定の定期的な収入があることが融資対象者の条件になります。
貸金業法に規制される会社は、この条件を満たす方のみしか融資ができないのです。しかし、銀行や生命保険会社の場合には、この規制はありません。
従って、銀行などでは専業主婦を融資対象者に含めている場合があります。
但し、実際には余程不動産資産がある専業主婦の方以外は、貸金業法の対象となる保証会社の保証がなければカードローン融資が難しい銀行では、現実には融資は行われていません。
また、銀行は、70歳を越える方でも、不動産資産があれば、カードローンを発行しています。リバースモーゲージローンなどはその代表です。
生命保険会社の証書担保の貸付も70歳以上の方でも可能です。
融資対象者以外への銀行カードローン
銀行のカードローンは、貸金業法対象者以外にも融資可能で、リバースモーゲージローン以外でも発行されています。
例えば、不動産資産を担保とした極度額設定のカードローンが、高齢者に発行されています。
また、失業中で無収入の場合でも、不動産資産がたくさんある場合には、カードローンが発行されているのです。
銀行は年金担保融資が可能
また、貸金業法では、年金は収入として認識されず、69歳以下の高齢者の場合は、年金以外の収入がなければ、カードローンは発行できません。
それに対して、銀行では年金を担保にしてカードローンの発行は可能です。実際には批判が多いため、実施している銀行は少ないですが、行っている銀行はあります。
総量規制対象外のカードローンの審査は甘い?
銀行などは総量規制対象外となっているために、規制外のところでのカードローンを発行していますが、その審査は消費者金融会社などよりも厳しく審査されているのでしょうか。
また、配偶者貸付などで今後拡大された場合、その審査は甘くならないのでしょうか。これらの現在の状況について見てみることにします。
個人融資の審査ノウハウのない銀行カードローンは甘い?
銀行は、元々担保付きの融資しか行っておらず、特に個人の方相手の無担保無保証のカードローンは経験がありません。
担保物件の評価や、担保処分のノウハウはあっても、担保のない方の信用力を測るノウハウがないのです。
優良な資産を持たれている方や高い収入のある方については、ほとんど無審査や甘い審査で高額の融資可能枠を持ったカード、すなわち、総量規制を越えた融資を実施しています。
しかし、それ以外の方については、銀行には実質的なカードローン審査のノウハウはなく、時間は書けますが、甘い審査しかできず、保証会社の保証をとってカードを発行しているのが現状です。
その保証会社も、消費者金融会社やクレジットカード会社で、貸金業法の総量規制やその他の規制を受けるため、実質的には総量規制の範囲内での融資になっています。
総量規制対象外による銀行カードローンの融資限度額は膨らむ
やはり、問題は資産家や高収入者に対する総量規制を越えた高額融資枠のカードローンの発行であり、それにより自己破産に至る方も多くいるのです。
実質的審査は行われず、利用者から見ても、融資そのものから見ても非常に甘い審査になっているのです。
それにも拘わらず、高額の融資をしている点は、金融庁は問題として捉えており、規制を検討しています。
また、保証会社として自社の子会社の保証をとっている場合があり、その場合は時間がかかる上に成約率も低いこととなり、利用者から見ると厳しい審査結果と言えますが、実際には甘い審査しかしていないと言えます。
銀行カードローンの審査は保証会社頼み
基本的に、銀行はカードローン審査の実質的なノウハウがありませんので、優良な既存顧客以外は、保証会社頼みになっており、利用者からは時間がかかって厳しい審査と見られています。
しかし、融資としてみた場合は、保証会社頼みで銀行自身の審査はほとんど行われませんので、甘い審査結果になっているのです。
銀行カードローンの専業主婦融資対象は掛け声倒れ
銀行は、総量規制対象外のため、カードローンの融資対象者として専業主婦を含めているところがあります。
しかし、既に述べましたように、余程資産がある方を除いては、保証会社の保証を得られませんので、実質的な貸付は出来ていません。
掛け声倒れなのです。
配偶者貸付の審査は厳しい証拠
消費者金融会社でも、配偶者貸付が可能で、パートなどで収入が少ない場合には、配偶者の収入をある程度合算して融資額を設定しても良いことになっています。
しかし、現在のところでは、大手消費者金融会社では行われておらず、主婦の方にとっては厳しい審査となっています。
配偶者貸付では、配偶者の承認が必要になっている点でも厳しいと言えるでしょう。
また、内職などをされている専業主婦の方も申告がなければ、配偶者貸付の対象にはなりませんので、厳しい審査となっているのです。
しかし、今後、大手消費者金融会社も過払い金返還請求が少なくなったことにより、融資姿勢を積極化させる可能性が高く、その意味で、配偶者貸付は残高を伸ばすチャンスであり、今後実施される可能性があります。
その場合には、やはり審査は甘くなると見た方が良いでしょう。
担保付きカードローンの審査は不動産評価次第
不動産などの担保付きのカードローンは、現状では銀行や、一部消費者金融会社で行われているだけです。
総量規制対象外ですので、審査の甘さは不動産の評価やその評価に対する融資比率の形で甘くなる可能性はあります。
バブル期においては、不動産の右肩上がり神話に酔って、担保評価に対して100%を越える融資をした結果、大量の不良債権が生まれたのです。
また、不動産評価においても物件の換価性を無視して行われた結果、担保物件の売却ができずに、不良債権化した場合もありました。
その意味で、現在はバブルの反省からかなり厳しい審査が行われています。しかし、一部消費者金融会社やノンバンクでは、残高を伸ばすために、それらの審査を甘くする可能性があります。
その意味で、総量規制対象外になっていることにより、返済事故が多発してくる可能性はあるでしょう。
銀行のカードローンはリバースモーゲージが穴場
銀行のカードローンの中には、リバースモーゲージローンとして発行されているケースがあります。
この分野は、まだまだ実施している銀行は少なく、今後、高齢者社会が進展することにより、増加していく可能性があります。
出来れば、不動産評価を甘くすることなく、実施してほしいところです。
事業者融資は個人事業主もカードローン対象のところがあり、穴場
個人事業主に対する事業融資以外のカードローンの発行は、消費者金融会社にとっては、穴場であり、今後増加する可能性があります。
また、ノンバンクの事業貸付が増加して、その中には事情主個人の資金使途が含まれてくる可能性も高いと言えます。
融資を伸ばすための一つの戦略となりますが、やはり審査としてみれば、甘い部分であり、あまり増えては欲しくない部分です。
高齢者融資が可能な銀行カードローンと生保の証書貸付は甘い審査
高齢者に対する銀行カードローンや生命保険会社の証書貸付は、担保があることにより、甘い審査結果か、審査そのものがほとんど行われていない場合もあります。
融資金そのものは担保によって補填されるため、銀行や生命保険株式会社にとって問題はありません。
しかし、破綻される方が増えた場合には、住むところが無くなったり、保険が下りなくなることによって社会問題化する可能性はあります。
消費者金融会社のカードローン審査が甘くなる可能性
消費者金融会社、特に大手は今後、貸付残高の成長戦略が大きな課題になってくる可能性があり、そのために総量規制対象内外の部分に対する融資を拡大する可能性が高いと言えます。
スコアリングシステムにおける足切りラインを低くして、審査が通りやすくする可能性とともに、配偶者貸付、事業主貸付、担保ローンなどの総量規制の穴場に対して参入していく可能性があります。
いずれにしても、総量規制によるカードローン審査に対して甘くなることを示しており、再び混乱が行らないことを祈るばかりです。
まとめ
貸金業法の総量規制対象外のカードローンにどのようなものがあり、その審査状況などについてご説明しました。
貸金業法の改正による総量規制などの導入によって、消費者金融の世界はようやく正常化に向かっています。厳しい総量規制によって、自己破産も大幅に減っています。
しかし、その総量規制対象外になっているものに銀行や生命保険会社の融資があり、さらに総量規制そのものに抜け道や穴場があるのです。
総量規制対象外の銀行カードローンでは、甘い審査の結果、高額な利用可能枠を持ったカードローンが横行して自己破産につながる例も出ています。
今後、過払い金返還請求が減少していることにより、大手消費者金融会社も総量規制対象外の分野や穴場に対して融資を積極化させる可能性もあります。
それらによって、再び消費者金融の世界が混乱に陥らないことを願うばかりです。
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